東西線を毎日通勤のために使っているのだが混雑がヤバい。人に押されて息が出来ない。身体が捻じれたまま固定されてしまい腰を痛めたこともあった。本気で労災申請したい。余りにヤバいので調べてみたら東京で混雑率NO.1だった。仮説の実証も完了。
上京から約1年が経とうとしているが、一番感じている身体の変化は満員電車への適応である。上京してしばらくは満員電車に乗る度に貧血を起こし、時に意識を失ってぶっ倒れることもあった。今はというとただただ無心で乗っている。屠殺場にドナドナされるブロイラー鶏のような諦観。東京の満員電車は人を悟りの境地に連れていく。
東西線はラッシュ緩和のための「東西線早起き部」という取り組みを行っている。ピークを外した時間帯に利用することでキャンペーンの応募資格やポイントが貰える仕組みで、その広告が方々に貼られているのだが、アレ本当にムカつくので今すぐ辞めてほしい。インフラ問題の解決をマンパワーに預けるな。
通勤ラッシュ時の社内の殺伐度もものすごい。ヘヴィメタの帝王オジー・オズボーンは
Crazy, but that's how it goes
狂ってる だがそんなもんだろう
Millions of people living as foes
何百万もの人間が敵として生きている
と『Crazy Train』で歌っているが、まさにその通り。マーケティング戦略として坂本九の『上を向いて歩こう』が海外では『SUKIYAKI』と無残な名前に変更されて売り出されたように、『Crazy Train』も『満員電車』にネームチェンジして日本で売り出せばいい。
Ozzy Osbourne - Crazy Train (1980)
電車の中は日本中の親の仇同士が一堂に会してんのかと思う程の殺気。一触即発の大バーゲンセール。日本の幸福度ヒートマップをリアルタイムに作成したら朝の電車ベンタブラックくらい真っ黒でしょ。満員電車で幸福でいられるわけがないのだ。
そういえば以前、まさに幸福な風景が満員電車の闇で塗りつぶされるような象徴的な出来事があった。
いつも通り通勤電車に乗っていると、普段はあまり見かけない学生グループがいた。中学生くらいの4,5人の女の子たちだった。ドア付近で固まり、何やら話しながらケラケラ笑っている。最も乗車数の多い駅の手前だったので、混んでいるとはいえ車内には若干の余裕がある。満員電車が珍しいのか、混雑すら楽しんでいる風であった。
だが、駅に到着する度、じわりじわりと彼女たちの笑顔はこわばり、そして遂に物言わぬ人形となった。ひたすらに身を寄せ合っていた。場違いな笑顔が、行き交う群衆に揉みくちゃにされて、ボウとしたような、それでいて張りつめた緊迫感のある表情に変わっていった。大人になるってこういうことなのかな。朝から虚しい人生観もポロリ。
推察するに、乗降車の際のリーマンモッシュに命を持っていかれたと思われる。駅到着時は自分の降車駅やポジション等関係なく、群衆の動きに身を徹底的に委ねる流しそうめんムーブに徹しないと、ドアに押し掛けるリーマン達の群れに蹂躙され轢死の最期を迎えることになる。
恐らくラッシュ電車に乗りなれていない彼女たちは、乗降時に人に押し出されまいと踏ん張ってしまっていたのだ。結果、モーレツ世代のおっさん達のモーレツタックルを浴びていた。弾きだされていた。
降車する人の妨げにならぬよう努めるのは確かにルールだ。色んな意味で守った方がいい。ただ、それは別に規範とかルールに従うべきというより、ラッシュ時の電車においては自分の命を守るために行った方が良い。
そんなわたしの降車時の心象風景は映画『ライオンキング』のシンバの父ムファサが、渓谷でヌーの大群に踏み殺されるシーンである。一寸先はムファサ。
もう終わるのでここで一句。
東京で サバンナ見たり 社畜かな。